お宿さんの保護部屋 


 

☆★☆お宿さん☆★☆

 

神奈川にお住いのお宿さんは、
お名前の通りご自宅が「ツバメのお宿」になっています。
20年以上も毎年何組かのカップルがご自宅の居間や階段に営巣して子育てをし、家族同然に暮らしておられます。

 

 

お宿さんは、ボランティアとして、多くのツバメを保護飼養してこられました。
怪我をして保護された子、成長が遅く、親鳥に置いて行かれた子、生まれつきの障害を持った子など保護される理由も様々なら、お世話も各々工夫や気遣いが必要です。
お宿さんは長年の観察と経験を保護に生かしておられます。

 

 

また、ツバメだけでなく、依頼を受けて様々な種類の鳥達を保護しておられます。
傷病のメジロ、キビタキ、カワラヒワ、キジ・・
障害が無く、無事リリースされた子ももちろん沢山居ます。
キジバト、モズ、アカハラ、スズメ、ヒヨドリ、ヤマガラ、イカル、イソヒヨドリ、カルガモに至るまで、的確で熱心なお世話で野生に返してこられた、野鳥の保護のエキスパートでいらっしゃいます。

 

 

お宿さんの保護部屋

 

ではお宿さんの保護部屋をちょっと覗いてみましょう。

 

つばめのダンボールハウス

 

右の写真は、お宿さん手作りのダンボール製越冬小屋兼夜間のツバメの寝室です。
(ツバメは寒さに弱い鳥です。日中はともかく、夜間は保温器具を入れた小屋で休ませる必要があります。真夏であっても、障害を持った子の事故防止の為、小屋で休ませた方が良いでしょう。) 
ダンボールの利点は、翼(風切羽)を痛めない事や、ケージに比べ保温性が高い事、安価で、加工し易い事などがあり、つばめの小屋にはもってこいです。

保温器具はひよこ電球にサーモスタットを付けて使用しておられる他、湯たんぽ(ペットボトル)も底に入れて使用しておられます。ペットボトルは転がらないように四角いボトルが良いです。
他にも、暖かい空気が外に逃げないようにビニールシートをかける、内部に断熱材(銀色のシート)を貼るなど、色々と省エネの工夫をなさっています。

↑小屋にはいくつか扉があります。中の熱を逃がさないように、使う位置だけ開けられるようになっています。
右側の小窓が出入り口兼、餌やり場所です。
下のツバメの絵がついた扉はお掃除の時と、保温の為のペットボトルを入れる時に開けます。

また、大きな小屋ですので場所によって少し温度が変わりますから、あちこちに温度計を設置して温度を点検しておられます。(熱は上にたまりますので、下の方が寒くなっていないか注意が必要です)
サーモスタットだけに頼らずツバメの居る場所の温度を確認して下さい。
特に冬場は温度管理に注意が必要です。

サーモの設置位置はツバメのお気に入りに場所の近くにすると良いでしょう。温度設定はあくまで目安ですが20度以上にして下さい。
個体差やその日の体調によっても適温が違ってきますので、よく観察して徐々に調節するようにして下さい。
晴れて暖かい日はお部屋内での放鳥も良いですが、かならず保護者さんが在宅の時にして、室温に注意するようにして下さい。 

 

↑冬場はダンボールハウスごと日の当たる場所へ移動して日向ぼっこをさせてあげます。後ろの小窓から給餌出来るようになっています。
中のとまり木は掴まり易いように包帯を巻いてあり、足の悪い子の為に皿巣も入れられています。

 

保護環境のの為の工夫

保護されている子の障害や特性に合わせて、なるべく自由に動けるよう、かつ体に負担がかかってストレスにならないよう、保護環境に様々な工夫をなさっています。

 

飛べない子のための巣箱と止まり木

保護ツバメ「おかちゃん」は片方の翼の風切羽が伸びず、そのため飛ぶ事が出来ません。
おかちゃんはよく床に降りますので、そこからジャンプや歩いての移動が出来るよう、とまり木を繋ぐなどの工夫をしておられます。
また、つばめは起きている間殆どの時間空中で過ごす鳥ですので、空気抵抗を減らすため体の大きさの割りに足が小さく進化したため、あまり掴む力も強くありません。
足の悪い子の場合は特に長時間とまり木にとまっている事になり、足への負担が大きくなります。
細いツルツルしたとまり木より、右下の写真のように布を巻いて少し爪が食い込むようにして少しでも負担を軽くするように工夫されています。

 

 

 

 

↑巣箱からお庭が見えるとまり木まで、木の枝を伝って移動できます。

↑足が弱いツバメにも負担がかかりにくいとまり木。突っ張り棒に布を巻いてあります。

 

 

 

足の悪い子の為の止まり木

足に障害があってとまり木をつかめない子や、元々とまり木にとまるよりも岩に足の爪を引っ掛けて休む習性のイワツバメのため、厚みのあるとまり木をダンボールを重ねて作っておられます。

 

 

 

 

↑写真右端が足に障害がある保護ツバメ「愛ちゃん」、真ん中がイワツバメです。

↑イワツバメ用のとまり台。3段になったダンボールはわざと段差をつけて手前が低くなるようにしてあります。

 

 

 

ミルワームの飼育

 

ツバメの飼育に欠かせないのがミルワームなどの生き餌の準備(飼育)です。 
夏場はミルワームの成長が早いので、買ってきたものに栄養のあるものを与えておけば数日で太りますが寒くなるとなかなか大きくなりません。お宿さんは100パック近いミルワームを購入され、大きさ別に分類して食べごろのものがいつも用意出来るようにしておられます。
冬は越冬ハウスの上に置いておくと、中からの熱で育ちやすくなるそうです。

 

夏はミルワームに蟻が寄って来る事もあるそうです。
神経質なツバメは蟻が来ると餌を食べなかったりするそうですから、蟻にたかられないようミルワームの入れ物は水を張ったトレイの中に入れる工夫をなさっています。

ミルワームの餌については「お急ぎの方へ(3)」もご参照下さい。

 

 

!!ボランティアさんの紹介や斡旋はしておりません!!

保護したツバメが飼えない、といった理由でボランティアさんの紹介の依頼を受ける事がありますが、当サイトでは紹介も斡旋も致しません。
このページの情報は、法に従って保護するにあたり、お世話の方法に迷われたり、障害がある鳥のお世話など特殊な場合などのための情報提供を目的に、ボランティアさんのご協力を得て掲載しています。

 

 

 

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